保育園の中でも一番小さな0歳児クラス。かわいい赤ちゃんクラスに実習で入るのは、嬉しい反面どう接していいのかわからないという実習生も多いですね。
この記事では、0歳児クラス担任経験のある保育士が、0歳児クラス実習のポイント、おすすめの活動例3つをお伝えします。
目次
0歳児クラスに入るときに配慮するポイント
0歳児クラスの子どもたちは見ているだけでも癒されますね。けれど保育者として入る場合、他のクラスに比べて配慮するポイントがたくさんあります。
はじめに・・・
コロナ禍になってから生まれた子どもは、極端に人と接する機会が少ない中で育ってきています。初めての人に出会う経験の少なさから、実習生を見て泣き出してしまうかもしれません。泣かれると実習生も戸惑ってしまいますね。
泣いている子に近づくと余計に泣いてしまうかもしれないので、「びっくりさせちゃったね。今日は1日お部屋で一緒にいさせてね」と優しく声をかけてあげてください。実習生が動揺すると子どもに伝わってしまいます。
部屋に入る時
・大きな音や声に気をつける
ドアの開閉や挨拶など大きな音や声にびっくりしてしまう子どももいます。幼児クラスに入る時よりも3割減くらいの声にしましょう。ドアの開閉、おもちゃを出す時などは音にも注意してくださいね。
・ドアの指つめ注意
ドアを開ける時は子どもが周りにいないか確認しましょう。つかまり立ちをしていたりハイハイをしている子は、引き戸のレールや蝶番など思わぬところで指を挟んでしまいます。
子どもへの接し方
・声かけをしてから行動にうつす
0歳児クラスの子は喃語(なんご)や指差し、身振り手振りで意思表示をしてくれます。発語がなくても大人の言うことはほぼ理解できている子が多いでしょう。着替えやおむつ換えなどお世話をする時は、「〇〇ちゃん。お着替えしようね」「おむつ替えするよ」など、声をかけてから子どもに触れるようにしましょう。
・発達の個人差が大きいと認識する
これは実際にあったのですが、ベビーチェアに座っていた子を床に座らせようとしたら、ひっくり返ってしまい頭を打ちそうになった。という場面がありました。ベビーチェアはもたれられるので一人で座っているように見えても、実際には一人で座れない子もいます。
遊びの時間
・歌を歌ったり、おもちゃを遊んでみせる
0歳児とどうやって遊んだらいいのかわからないと言う声もよく聞きます。歌を歌ったり、手遊びをしてもすぐには反応がない場合も多いです。
反応がなくても繰り返すことで「この人といると楽しそうだな」と近寄ってきてくれる子もいます。近寄ってきたり、子どもから抱っこを求めたら心を開いてきたと捉えて、ふれあい遊びなどしてあげてくださいね。
給食・おやつの時間
・少しづつゆっくり口に運ぶ
0歳児は離乳食の子も多く、一人ずつ食べるペースも違います。食べさせるのを任された時は、子どもの口元を見ながら、必ずごっくんしてから次のものを口に運ぶようにしましょう。喉に食べ物を詰めないように注意深く見ながら食べさせてください。
ごちそうさまをする時は、「必ず口の中に食べ物がないか」確認します。特に、固い野菜や肉が出た時は、スジを飲み込めずに口に入れたままの子がいます。
午睡の時間
・睡眠チェックは丁寧に
SIDS(乳幼児突然死症候群)予防のために0歳児は5分ごとの睡眠チェックが義務づけられています。呼吸はしているか、仰向けに寝ているか、顔に布団はかかっていないかなど寝ている時にも十分に配慮してあげましょう。
0歳児クラス部分実習おすすめ活動
0歳児クラスに入った時の部分実習の例を書いていきます。あくまでヒントなので文例を丸ごと真似するのではなく自分の言葉で書いてみてくださいね。
活動1「フィンガーペイントでいちごの種を描いてみよう」
ねらいの例
- 指先を使い製作活動を楽しむ
- スタンプの感触に親しむ
- 季節の果物を知る(いちご以外にすいかなど季節の果物や葉っぱなどもおすすめです)
導入例
いちごの絵本を読む
準備
いちご型に切った画用紙・スタンプ台・指をふくタオル
遊び方
先生と一緒にスタンプ台に指を置いて、いちご型の画用紙にスタンピングしていく
配慮すること
- まずは先生がやって見せる
- 一度に二人づつくらい先生と一緒にしていく
- 指を舐めないように注意する
- 嫌がる子には無理せず、手をそえたり時間をおくなどして様子をみる
活動2「新聞ちぎりで新聞の感触や音、ちぎる楽しさを知ろう」
ねらいの例
- 新聞のカサカサした音、ビリビリと破れる音、クシャクシャの音など色々な音の違いを知る
- 指や手のひらを使い、破る経験をする
- 新聞を丸めたり折ったりして形が変わる様子を見て楽しむ
導入例
- 手遊びをして子どもたちが注目するようにする
(手をたたきましょう、頭の上でパンなど、両手を叩いて音が出ると注目しやすい) - 新聞を大きい状態から小さく畳む、小さい状態から大きく広げるなどして興味を引かせる
- 新聞紙ごしにいないないばあをする
準備
新聞紙・ビニール袋
遊び方
- 実習生が大きな新聞紙をビリビリにしたり、丸めたり形が変わるのを見せる
- 子どもたちにも1枚ずつ渡していく
- ビリビリにした新聞紙はビニール袋に入れてボールみたいにしてみる
配慮すること
- 新聞紙を食べないよう注意する
- 触るのを嫌がる子は無理にさせない
活動3「ふれあい遊びで人と触れ合う心地よさを楽しもう」
導入の例
- あたまかたひざぽんなど自分の体に触れる手遊びをする
- おしくらまんじゅうなどの、ぎゅっとふれあう絵本を読む
準備
絵本
遊び方
子どもたちを寝転ばせて担任が子どもに歌いながら子どもに触れていく
寝転ぶのをいやがる子は座ったままでもよい
配慮すること
- 子ども同士ぶつからないように適度に感覚をあける
- 体に触れる時は足の裏、手先など、体の端から中央にむかうと子どももびっくりしない
- 楽しい雰囲気を心がけ、嫌がる子や興味ない子には声をかけるだけで無理にはしない
まとめ
0歳児クラスに実習に入る時のポイントや部分実習のポイントを書いてきました。0歳児クラスは発達の差が大きく、ねんねの子から自分で歩く子まで、どの子の発達に合わせていいのか迷ってしまいますね。
基本的にはそのクラスで一番多い月齢に合わせるといいですが、担任の先生に相談してみましょう。0歳児クラスで部分実習をする場合、子どもの声での反応がないので、淡々と進みがちです。
緊張と子どもの反応のなさに、特に初めての場合はどうしていいかわからなくなってしまうと思います。まずは歌のお姉さんのように、自分が楽しんでいる雰囲気を伝えることを心がけるといいですよ。
0歳児は、「怖そうだな」「楽しそうだな」という雰囲気を敏感に感じ取ります。実習生が失敗しても楽しそうに歌ったり手遊びする姿をみると、子どもたちにも笑顔が広がります。