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こんにちは!ぽっくる先生(@2525pokkuru)です。
今回は縁あって、横浜市内の認可保育園の園長先生にインタビューをさせていただきました。
保育士をしていても、なかなか園長先生の仕事や取組みって、目にする機会がないですよね。
中には、
- 園長先生とうまくいかない!ついていけない!
- もっとこうしてくれたらいいのに…
- 保育園や保育士のこと、どう考えてるの?
なんて、疑問や不満を持つ保育士さんも多いのではないでしょうか…。
私にも経験がありますが、園長先生と現場の保育士では仕事内容が違うので、すれ違いも起きやすいんですよね。
保育士は子どもたちのことを考えて保育計画を作成したり、毎日の保育を行いますが、園長先生は保育だけではなく、”園の運営”も行っていかなければなりません。
”経営者の視点”がなくてはならないんですよね。
しかし、経営のことだけ考えていると、”保育の質”には繋がらない…。
なかなか自分の職場の園長先生には聞けないことを、たっぷりと聞いてきましたよ!
質問したいことは、保育コミュニティ#HUGのメンバーから募ってインタビューさせていただきました。
目次
園長先生プロフィール
- 名前:モンキー園長先生
- 年齢:30代後半(男性)
- 所属:横浜にある認可保育園園長
- 経歴:保育士を11年(3園)経験後、横浜保育室の副施設長→認可保育園(新設)の施設長に。現在は園長歴5年目。
- 保育を志した理由:人の力になりたいと思ったこと。現在は「相手の自己実現」が夢。
モンキー園長先生のTwitterはこちら→〈@Dai96975785〉
園長先生の仕事とは?
幅広い園長先生の仕事内容、園長先生のなり方(ルート)、園長先生に必要な素質については、「なるほどジョブメドレー」というサイトにて執筆させていただきました。
基本的な仕事内容や園長職の目指し方について知りたい方は、こちらを読んでみてくださいね♪
⇒なるほどジョブメドレー「保育園の園長ってどんな仕事?なるための要件・適性は?」
常勤保育士vsパート保育士、どちらを優先する?
正規職の保育士とパートタイムの保育士での意見の食い違いや保育のすれ違い…
けっこう多くの園で見られるのではないでしょうか?(私も経験あります)
やっぱり園のために長い時間働いている常勤保育士の意見が強いのでしょうか?モンキー園長先生のお考えはいかに…
大きな「火種」の前の小さな「火種」への対策を行っています。
非常勤保育士とも年2回の面談を行い、そこでの話を園の課題として担任職員へ周知します。また、年1回の非常勤会議を設け、年1回の全体会議にて園が進むべき道筋を伝えます。
このようにこまめに双方の意見を聞くことにより、常勤・非常勤の間で目立ったわだかまりはありません。
男性保育士として意識していることは?
現場の保育士としても11年活躍されていたモンキー園長先生。
女性が多い職場環境であることや、男性保育士による事件が報道されることによって苦労されたこともあるかと思います…。
一体どのようなことを意識して仕事をしてきたのでしょうか。
リスクヘッジのため、呼ぶときに肩を叩くなどちょっとしたことでも触らない。更衣室の方に目を向けない。階段で女性の後ろを歩かない。臭いに気をつけるなど清潔感を保つ。2、気を配る
女性に限らずですが、気づいたことや感謝していることなどは言葉にして伝える。イベント時にお菓子を配ったりとちょっとした気配りをする。
3、元々の本質の特化を意識
男性脳・女性脳の違いを意識して、理論思考や仕組み作りなど男性として得意な部分を担当するよう心掛けている。
【以前に受けた男性保育士としてのクレーム】
遊んでいるとき、4歳の女児をヒザの上に乗せて座っていた(子どもの方から自然と乗ってきた)。座らせたまま遊んでいたところ、お迎えに来た女児の母親が「4歳の女の子を男性のヒザの上に乗せるなんて…」とクレームが入った。
⇒遊びやスキンシップとして乗せていただけだが、見る人によっては不快に思うことがあるという事実を知った。この一件があった後はヒザに乗せるのではなく、横に並んで座る形をとったり、手をつないだりするなど、別の形でのスキンシップをとるようにした。
今後の保育・幼児教育に求められていること
変わらない部分への意識と、「変わる」「変える」部分への変革ですね。変わらない部分は保育の本質的な部分、変わる・変える部分は、たとえば書類や管理のICT化です。今後の保育・幼児教育については、汐見稔幸先生、大豆生田先生がおっしゃっていることとほぼ同じだと考えます。
長年勤務=ベテラン?
私自身の見解では半分半分です。「経験値」は経験ある方が高い。だからといって能力が高いということとは違う。それぞれのフィールド(段階)で求められることができることが必要だと考えます。これから保育現場も評価制度が取り入れられるようになってくると思います。
保育園という職場は閉鎖的になりがちなこともあり、長年勤務している先生が権力を持つ傾向にありますよね…。園のことをよく知っている=保育のプロ・立派な先輩ということではないと私も思います。
ここを勘違いしてしまうと職場の人間関係ズタボロになるような…。
職員をまとめる上で気を配っていること
「リーダー」として大切にする道しるべを伝えていきます。全体会議、職員会議、非常勤会議の他、サイボウズのシステムを利用するなど、伝える場を設けています。
また、「仕組み作り」を大切にしています。例えばシフトに関しても、
・1年分の土曜勤務・振替休暇のシフトを出す
・9日連続休暇を早いうちに希望を聞いて決定
・事務作業をする時間を確保⇒シフト化全て「見える化」しています。実習生の受け入れや新人育成に対してもマニュアルを作る等、ある程度意識を揃えられるよう工夫しています。
休暇やシフト…職員にとっては大事な部分ですよね。土曜シフトやお休みが早めに確認できたり、自分の希望が通ったりすると、それだけで満足感を得られます。
逆に、「ギリギリまでシフトがわからない…」「休みが決まらない…」そんなことが続くと、小さな不満が積み重なっていきますよね。
採用活動について
採用はもちろんですが、現在働いてくれている職員が継続できるような環境を整えています。先ほどお話したシフトに関する工夫の他、フリーの職員を増やして担任が事務時間を確保できるようにする、年3回の面談で職員の意見や現場で起きていることをくみ取れるようにします。
また、採用に困らない一つのポイントとして、融通の利くシフト体制があります。お子さんがいる先生、主婦の先生は働ける時間が限られていたり、急な休みも多くなりがちです。そのような状況でも働きやすいよう、【週2~3日】【8:30~14時】など、短時間シフトを選べるようにしています。また、都合が悪いときは職員同士でシフト調整できるような体制も整えています。
新規の採用に関しては、保育士養成校・ハローワーク・派遣会社を利用しています。そのときに気をつけていることは、就職担当の方としっかり関係をつくっておくことです。求職者に直接良さをアピールするのではなく、養成校の就職課の方やハローワークの担当の方に挨拶をしたり、自園の取り組みや強みをお話するようにしています。
派遣会社(保育士の就職サイト)を利用する際は、大量にスカウトメールを送るようなことはせず、”誰にどのようなメールを送ったのか”をしっかり記録し、同じ人に2度メールを送ったりして失礼なことがないよう気をつけています。40社以上ある派遣会社へ、多いときは2週間に1回のペースで全部に電話をしています。
日常の保育の見学、ボランティアの受け入れも積極的に行っています。求職中の学生に対して、「うちで働きましょう」「試験受けてみない?」等の言葉は絶対に言わないようにしています。いろいろな園を見て決めてほしいので、相手ありきの対応を心がけています。また、研修や交流会、学園祭へ参加し、保育関係者との縁を深めています。
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保育園が選ばれる時代…対策は?
同じエリアにどのような保育施設がいくつあるのかリサーチを行っています。アクセスの良さ、定員数、特色なども見ています。自園は0~2歳対象の保育施設なので、ターゲットとなる0~2歳児の保護者、妊婦さん、2人目の子どもがほしい保護者を意識しています。
3歳以降もスムーズに入園できるようにするため、提携園との調整も欠かせません。自園に入園することにより、提携するこども園へ入園しやすくなる仕組みづくりもしています。
また、保育士の確保、園児の確保と補助金の関係を考え、定員の上限数を変更するなどの工夫も行っています。
保育士⇒園長 役割の変化で大変だったこと
保育士と園長では職業が違うという感覚です。プレイヤーからリーダーへ、という感じですね。特に管理職として採用された初期の頃は、大量の事業計画や補助金関係の書類に目を通す日々でした。今まで見たこともなかったような書類です。勉強し続けましたね…。
保育園の運営はもちろん、スタッフに対しては「職員の人生を預かる」という感覚です。覚悟が必要ですね。働いてくれる保育士一人ひとりの自己実現ができるよう意識しています。
園長として受けたい研修
〈今まで受けて感銘した保育以外の研修〉
- 青木仁志さんの研修
- 石田淳さんの研修
アチーヴメントという会社の企業メルマガから無料研修を受けました。部下に対して、人に対して還元して当たり前という青木さんの言葉に感銘を受けました。新人育成についての考え方、OJTについての仕組みをつくるキッカケとなりました。
今後受けてみたい研修は、
・これからの保育
・コーチング
・ファシリテーション
・マネジメント
・労務関係の研修ですね。
園長としてのスキルに繋がりそうな研修が多いですね。これから園長職を目指される方はこのあたりを学んでおくと役立ちそうです。
今回お話を聞いて、「園長先生って、こんなにたくさんのことを考えているんだ…!」と驚くと同時に、尊敬の思いでいっぱいになりました…。
しかし、全ての園の園長先生がここまで考えているかというと…きっと現場の保育士さんの答えは「NO」ではないでしょうか。
良くも悪くも、園長先生の考え方・やり方次第で、けっこう職員の満足度は変わってくるのではないかと思います。
そして、職員の満足度は、子どもに還元されますよね。
園長先生は園のリーダー、保育園はチームとして、より良い職場環境になるよう努めていきたいものです…。
他にもまだまだまとめきれていない有意義なお話をたくさん聞かせていただきました。
保育園での取り組み、新人育成についてなど、またご紹介できたらと思います。
<2020年5月追記>
コロナウイルスの流行、緊急事態宣言による保育士の在宅勤務措置について、仕事内容や研修課題について、自身の園での取り組みをシェアしていただきました。
保育のスキルアップになる読書リストも公開していますので、こちらもぜひご覧ください。
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保育士の在宅勤務の仕事内容~横浜認可園の実例11項目&保育者推薦本・動画リスト~
こんにちは!ぽっくる先生(@2525pokkuru)です。 2020年の春、コロナウイルスの流行や緊急事態宣言により、保育士も在宅勤務という ...