自身のご活動のみならず、そう本質・本物についてお話をしてくださったのは、前回記事の中でご紹介した、蝋空間アーティスト/ミナイマサシさん。
今回、実際にお話を伺うことができました。
国内に留まらず、たくさんの方の心に寄り添い、癒しを届けられているミナイさんの想いに、最後まで触れ続けていただけたら嬉しいです。
プロフィール
2011年キャンドルを作り始め、2017年にはアシスタントとして大型フェスなどの演出にも携わる。
その後独立し、自身の個展やアーティストの空間演出、結婚式や様々なイベント装飾を行う。
2019年に自身のブランド【ROSOKU MINAI】を立ち上げ、キャンドルだけでなく、廃棄フルーツから作られたリードディフューザーを作るなど、様々な社会活動も行う。
“意味のある時間と空間を届けたい” という思いから、人の内面を照らし出し、人生の有限性を表現することが多い。
それは、見る人を一瞬にして異世界に連れていく。
〈アーティストの主な活動歴〉
2019 ROSOKU MINAI立ち上げ
個展
2019 「青のCandleNIGHT」東京
2020 「蝋につけて取り出したとき」東京
ライブ演出
2018 竹澤汀「Storyteller」
2020 cinématographe「Tink of___」
2021 MIND TRAVEL FES 2021
メディア
2020 美人百花2月号
2021 TV東京「東京交差点」キャンドルアート5.16
2022 ELLE 5.23
他演出、グループ展など
ラフォーレ原宿 / RforD / ab-restaurant / HotelGraphyNEZU
インタビュー
○空間の表現をされるようになったきっかけを教えてください。
昔から、自分の部屋は居心地良いようにしていたい。癒しの空間を作りたい。というのがすごくあったんです。当時は、自分の心情を音楽で表現していたりもしていたのですが、そこにはキャンドルもあって。
キャンドルナイトのカフェで音楽ライブをさせていただいたことがあったりもして、昔からいろんなキャンドルやろうそくに触れる機会があったんですよね。
空間の表現って、何かに縛られることがなく、いろんな人と、いろんなジャンルの、いろんな価値観の人が交じ合われる場所だなぁと思って。
キャンドルの灯火って誰が使っても寄り添ってくれるので、それで癒しの空間を表現したいと感じたことがきっかけですね。
○作る原料にもこだわっているのですか?
元々は、自然から生まれているわけだから、自然なものを使う。合成のものを使うと、嫌な香りがしてしまったり、食事とぶつかってしまったりもするんですよね。
原料は、意味あるものでありたい。手に届く範囲の金額にできるようにしたい。ということを考えた時に、いろんな偶然が偶然を呼んで、廃棄になってしまうフルーツで、作れるよ。というお話をいただいて。
実際に自分が行かないとわからないから…と、農家さんにお会いして話をさせてもらったんです。
どのような想いで作っているのか、なぜ規格外が生まれるのか、農薬を少なくすればするほど規格外になりやすい…ということも教えていただきました。
○市場に出すことができず廃棄となってしまう”規格外”と呼ばれるフルーツを、購入して作られているのですか?
農家さんが想いを込めて作っているから、健全な在り方でいたい。香りを作ってくれるメーカーさんと話をして、ちゃんと買い取ってもらって、発注して作っています。
定期的に農家さんのところへ行って、手伝って、現状こうなってるんですねって。そんなコミュニケーションも、とても大事だと思うんです。
農家さんの想いを実際に聞いて、一緒に考え、生まれていきましたね。
メディアには全然出ていなかったけど、生産者さんの想いとともに、もう少し発信していくことも大事なのかなと思ったりもしますね。
○今後どういう人たちに発信をしていきたいと思っていますか?
まだ現状を知らない方や、環境問題等に関心のない方に、フランクに感じてもらえたら良いなあと思っていて。
SDGs流行ってるよね!じゃあそれで発信していこう!と、ただただ流行りにのるとかではなく、”自分が本当に想って、納得して、得心して、思っていることをやる”というのが良いかなぁと思います。
○意識して考えられていることはありますか?
相手の想いを100%知ることはできないけど、わかろうとする努力や、できる限りのことはしたいな。と。今ある理解の範囲で、出来ることはやりたいなといつも思っています。
実はこうだったんだ…!と理解が変わった時に、見て、知って、行動が変わるというのは全然あって良いことだと思っていて。
これをやめていないと全部ダメなんだよということも、実は知らない部分があるから。今ある理解での自分の活動を、強要はしないようにする。というのはいつも意識していますね。
○その時々や来られる方に合わせて空間を作っているのでしょうか。
音楽ライブの演出やアートディレクションをしていたりもするんですよ。
毎日の仕事にストレスを溜めていて、外に出る場所が欲しいと思っている人がいたら、その音楽ライブが、楽しい空間や時間になったり、救われたりすることがあると思うんですよね。それがあるからこそ日々の生活を楽しんで頑張れるという人もいるかなって。
こういうライブが良いよね。ちょっと違うよね。というのも、人によって価値観も違うから。
ゆったりとした空間が好きな人に対しては、キャンドルとか、よりアコースティックな空間を作ってるんです。
日々緊張している人がリラックスできるような部分を作るっていうのも本質だなぁと思っています。
絶対これが正解というのも、もちろんない。一歩引いて考えるといろんな人がグループされている。そうするとぶつかったりするときもあるから、そこの垣根っていうのをなるべくなくしたいし、そこに生まれる問題とかも考えていたい。
○誰しも対立したいわけではないですものね
現場の中にいると、大変だと感じたり、しんどいなぁと思うこともあると思うんですけど、一歩引いてみると、自分もそういうことをしてたかもしれないなぁとすごく思うんです。
その時に、自分がどう生きようかという風に考える。そうするとね、時に嫌なことをしてしまいそうな自分を抑えられたりするから。
人の命を大事にしたいとか、将来のことを、ひとつひとつ丁寧に考えて行動していきたいというようなところは大事にしたいねと、スタッフとも話はしていて。
キャンドルを作るのも、香りのプロダクトを作るのも、本当にそういうことに繋がっているかということを考えたい。使う人にも想いが伝わったら良いよねとか、空間を作る時もそういうのが大事だよねとか。
”良い悪い”とか、”バランス”とかで物事を片付けたり、”難しいよね”と話を終わらせたくはないと思っています。
○お話の中で『本質・本物』というワードが出ましたが、ミナイさんが思う『本質・本物』とは?
自分の今生きている生活のチョイスや、時間の過ごし方、行動の仕方やお金の稼ぎ方・考え方、友達との会話の仕方とか。
どんなことも、生まれてから人生を終えるまでの、そのひとつひとつのチョイスでしかないなって。
それが、”自分が思う良いところに繋がっているかな”というのを、考えながら、生きれたら良いなと思っています。
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最後に
心に灯していた火が消えかけてしまっても、
消えてしまっても、自分のタイミングでまたつければ良い。
自分自身を高める灯りも、癒す灯りも、
消えずに灯し続けていたいと思うのです。
きっとあなたの生活のなかに、心のなかに、あかりを灯してくれる。
日々を忙しなく過ごされている皆さんに、
心が癒される時間を過ごしていただきたいと、私もそう強く感じます。
大切なお時間を使い、人生の大切な想いをお話してくださったミナイさんに、感謝の気持ちを込めて…。
ありがとうございました。