働き方改革や副業の解禁など、ここ数年で「働き方」が多様化してきています。
そして、その働き方改革は保育業界にも…。
フリーランスの保育士や、ベビーシッターとして働く保育士が増えてきました。
今回はいち早くフリーランスとして独立し、現在保育士起業家としても活躍中の、”保育の思想家まいみちゃん”こと、草間麻衣美さんにインタビューをしてきました。
ということで、今回は地元(千葉県某所)にて
- 保育士になったきっかけ
- 保育士時代の苦労話
- フリーランス保育士って?
- 保育士起業家の事業内容
などなど、これから働き方を変えたい人にとって気になる内容を、あれこれ聞いてきましたよ!
プロフィール
職業:フリーランス保育士、子育てマッチングサービスHug pocket代表取締役
経歴
幼い頃からずっと保育園の先生になりたくて、専門学校に通って保育士になるっていう、王道の保育士でした!最初は私立の保育園で3年働いて、そのあと公立の保育園で5年、計8年保育士としてやっていました。
働いてはいないんだけど、仕事で悩んでた時期に海外の保育に興味があって、海外の保育園で2~3週間かな?ボランティアで行くっていう経験もあり…そんな中で世界観が変わって、その後フリーランスの保育士として独立しました。
起業してもうすぐ4年経つのかな?2019年に2回目の起業をして子育てマッチングサービスhugpocketの経営を今はしています。
保育士になったきっかけ
幼稚園時代に、ネガティブなきっかけと、ポジティブなきっかけがあって。
ネガティブなきっかけとしては…昔すごく体が小さくて、ごはんを食べることは好きで、苦手な食材もなかったんだけど、お弁当給食の時間に量が食べられなかったんだよね。ごはんを食べること・完食することが正義の時代だったから、良い子になれなかった。幼稚園にはスタンプカードがあって、ごはんを全部食べられたら赤いスタンプ、残した人は青いスタンプが押されていって…私はずーっとずーっと青いスタンプの子だった。
子どもながらに「なんで食べることがいいことなんだろう」と疑問に思っていて…「残しちゃいけない」っていうのもわかっているんだけど…だったら最初から小さいお弁当にしてほしいと思っていたけど、それも叶わなくって(笑)悪知恵が働いてくると、ごはんを落とすとか良くない方向に移行していった。子どもながらに、そういうちょっとした疑問をいろんな箇所で感じていた少女でした(笑)
自分と同じ思いをしないような現場になってほしいというのを、成長とともに感じていって。幼稚園は3歳からだけど、自分はもっと小さいうちから子どもと関わりたいと思って保育士を選びました。
ポジティブなきっかけとしては、単純に幼稚園の先生が好きだった。あとね、実習生が好きだった!
大事に大事に、無償の愛で関わってくれる大人の人が好きだった。自分もそういうふうになりたいという憧れもあったのかな…。
保育園での仕事
うーん…振り返ってみて、全部よかったと今は思えるけど…専門学校通ってたときに、先生に「3年は続けなさい」って言われ続けてて…そういう時代だったよね?(笑)
その言葉が真面目に響いていて、3年は私立の保育園で頑張ってたんだけど…正直、新卒でブラックな園に入ったという事実、今になって気づいた。そのときは、「正しい保育の業界ってこれなのかな?」って思ってた。
3年目なのに副主任。みんなが年度途中でやめていくから、どんどん勝手にキャリアアップしていっちゃう。自分はもっと学びたい立場なのに、指示しなくちゃいけない立場。それがプレッシャーだったりとか…。仕事じゃないのに土日も呼ばれたり…。行事に力を入れる園で、休日返上で装飾や作り物をしたり…でもそれは休日扱い。人間関係でも気を遣う。毎日が必死だった。
目の前の子どもじゃなく、いかに人間関係がうまく回るか、保育のことよりも理事長先生に怒られないようにどうしたらいいかばっかり考えてて。本質とぶれていることに当時は気づきもしなかった。
2年目でクラスリーダーになって、園全体の管理をするような立場になって事務仕事が増えた。子どもが大好きで、子どもの未来を考えたいから保育をするけれども…でも、優先すべきことが職員同士の人間関係だったり書類のことだった。
今でも忘れない、あまり良く思われないかもしれないけど…転機となった出来事があって。事務所で事務仕事をしていて保育室に戻ったとき、0歳児のみきちゃんが泣いていたんだよね。周りの先生になんで泣いてるのか聞くと、「手が痛いのかな?よくわからないんですけど…」と報告を受けた。でも事務仕事を優先してと言われて事務所に戻ったんだよね。なんとなく頭で「病院に行かなくちゃいけない」っていうのは薄っすらわかっていたんだけど…締め切りのある書類を優先したんだよね。
30分後に戻ったら泣き止んでいたけど、やっぱり様子がおかしくて…病院に連れていったら脱臼してたの。そのとき「自分は最低な保育士だ」と思った。
なんで子どものことより事務仕事を優先してしまったんだろうって…すごく後悔した。心に余裕があったら脱臼の可能性に気づいて、適切な処置ができたかもしれない。そういうあやまちを起こすことはみんな可能性としてあると思う。余白がある保育をしていたら、どうにかできていたかもしれない。保育の専門家としてやってはいけないことをやってしまったっていうのがあって。ゆとりのある保育環境で仕事したい、学んで成長したいと思って、年功序列の公立園へ転職をした。
公立は育てようと接してくれる先生が多くいて、今までと違った環境でありがたいなぁと思った。でも、逆に自分の保育観を出せる環境ではなかったかな。先輩の保育が正しいもの、先輩の保育観に合った保育、気に入られるための保育に集中してしまっていたなぁと…。同じ保育施設でも、私立と公立でこんなにも環境が違うと知れた。1回私立の園を辞めたことで、「いつでも仕事は辞められる」っていう安心感が持てた自分もいるのかな。
私立の園を辞めるときは「人生終わるんじゃないか」くらいのレベルで考えていた(笑)
親にも専門学校に通わせてもらったのに…なんて私は最低な人間なんだろうって(笑)退職前、病んで1か月くらい休んでしまって。電車乗るけど、降りて吐いて…でも私が辞めたら子どもたちは?って変な被害妄想にもなって。でも親が「辞めていいんだよ?」って言ってくれて…「あ、いいんだ」という気持ちになれた。
仕事が自分の人生じゃない、ここに縛られて生きていかなくていいんだ。この環境が自分に合わないだけで、もっといい環境があるのかもという余裕ができた。意外と悩んでることって小さいことなのかもしれない…一つ経験したことで自分の選択肢が増やせた。
でも業界の独特な伝統やルールとか、「自分の人生を豊かにするのに本当に必要なものなのか?」っていう疑問に、外部セミナーとかに行くようになって気づき始めて。
子どもの環境を良くしていくプロとして、保育ってもっと可能性があるってことを世に伝えていきたいなって思った。みんなよりもっと勉強して努力しなきゃと思い…単純なんだけど、とりあえず海外に行ってみたら人生変わるんじゃないかと(笑)
1回海外に飛び出していったら、全然環境が違った。先生たちは仕事中なのにお茶やコーヒーを飲んで談笑していて、でも子どもたちがケガをしたりするわけでもなく…。先生たちがリラックスしてるから、子どもたちも安心した環境の中でリラックスして過ごしていた。自由に自分たちのしたい遊びをして、ケンカもできて、仲良く遊ぶこともできて…。
私は日本の保育も海外の保育も好きだけど、そこで余白の在り方を学んだ。これこそ私の伝えたい、保育に必要なものなんだなって。心を感じる生き方をするためには、まず自分が豊かであること、ゆとりがあること…これをまず自分の周りから伝えていって、保育業界がハッピーになったらいいんだということに気づいて帰ってきた。
そこから世界の保育にすごい興味を持っちゃって…ロンドンに行こうとしたんだよね。オーペアをしようと思って。英語できないのに、スカイプで面談とかも進めてた。次の年から行く予定だったんだけど、母が闘病してしまって…けっきょく亡くなっちゃったんだけど、それで私は行かない選択をした。
でも、せまい世界で生きていく選択をしたくなかったんだよね。このまま保育園で雇われてせまい世界、作られてしまった組織で働いても変わらないんじゃないか…と思って逃げてしまった。私は中で変えられる人ではないと思ったから、保育園っていう組織から少し離れた活動をして独立していった。
フリーランス保育士の仕事内容
フリーランスの保育士としての活動は訪問保育…ベビーシッターって言った方がわかりやすいかな?遊び場づくり…アート遊びの場をつくったり、保育者の独立支援コンサルをしたり、保育園の内情のコンサル、個別契約で保育園の先生、あとは…保育者が学べる・楽しめるコミュニティ・イベントづくりをしたり…。ママパパ向けの子育て講師、小中学校で講師活動…
フリーランスの保育士っておもしろいよね(笑)最初は王道の保育士の道を歩んできたからビジネスの知識もないし、自分の活かし方もわからない。ただただ保育への思いだけで起業したアホな感じだったんだけど、それでも思いと行動で割となんとでもなる(笑)
人脈もない、営業もしたことない、ビジネス知識もない、保育の知識と思いだけで事業を始めて、まず苦戦したこと…値段のつけ方もわからなかったし、どうやって自分の顧客をつけるのか知識もなかった。自分が何ができるのか自分の中でわかっていないことも多くて、事業内容を作るのにも時間がかかって…作ってはまた見直して何回も何回もやり直しをして…リアルに吐きそうになりながらやってた。しかも出来上がっても、だれにも見られていない感じ(笑)
そこから、まずSNSでの発信に取り組んで。組織にいたときはSNSの活用も、ただ自分が楽しかったこと、プライベートなことを載せていたけど、そうじゃなくって、本当に自分の保育への思いだったり、私ってこういう人間なんですっていう発信を始めて…。そうすると、求めているものが多くの人に少しずつ広まって、助けてくれる人が増えてきた。
そこで、保育者としてプレゼンできる場があると勧められて、多くの人に自分の思いを伝えることで保育の重要性だったり、子どもたちの未来が明るくなることに少しでも貢献できるんじゃないかと思って…挑戦することに決めた。プレゼン大会に向けての資料づくりに励んでいった。それが、私は発信者になろうと決めたきっかけだったのかな。
なって良かった!フリーランスになったら、自分の人生を自分で決められるという幅が広がった。私自身は仕事が楽しいから、休みも関係なく仕事ができるのが幸せ。好きな時に自分の時間が作れて、仕事に没頭したいときに好きな仕事ができる。シッターや講師、世の中に必要なことを選択をして仕事を組み立てられることが幸せだし、自分の作り出した仕事が相手にとってハッピーである、それで対価をいただける…。
保育園のときは与えられた業務でお給料をもらっていたから、正直ありがたみがわかってなかったし、時給換算すると寒気がする(笑)お金のことも、生活のことも、自分の人生に責任と覚悟を持つようになって、だからこそお客さんが満足できるようなものを提供したいと思って学んでいきたいと思うし、それに見合ったお金の設定をしてお仕事を受けたいなと思うし、そういうふうに行動できるのはフリーランスの醍醐味なんじゃないかと思う。
あとは、ちょっと特殊かもしれないけど、どこにいても仕事ができる。実際に今沖縄と関東2拠点に住んでいて。現場の仕事はもちろん、webでできる仕事をしたりとか…保育士=保育園の先生ではない働き方を自由にできるのが楽しい。
自分の好き・得意を活かしながら働けるっていうのは、すごく伝えたい。
2回目の起業をした理由
正直いうと、ベビーシッターっていう言葉の働き方が好きではなかった。でも世の中に必要なものだというのもわかっている。なんで嫌だったのかというと…ベビーシッター=ただ預かる人、保育の専門家っていうイメージがなかったから。私は保育のプロとして活動したかったから、ベビーシッターと言いたくなかった。だから個人でやっているときは、ベビーシッターとは少し違う、保育の専門家として活動しているっていう意味で、訪問保育と言っていた。
いろんな活動を多方面でしていたことで、今の共同代表と出会った。彼女はワーママで、実際に3歳のお子さんがいる。彼女は実際にいろんなマッチングサービスを利用したけど、利用しずらかったという苦い思いをしていた方だった。「乳幼児期の子どもたちにとって一番吸収力の高い時により良い環境で過ごさせてあげられるサービスをつくりたい!」という彼女の熱い想いに共感して、私自身「もっと保育の質、保育園の外でも子どもの最善の利益を保証できる保育者であふれる社会にならなければ」と思い、一緒に事業をやることに決めて、猛スピードで…半年くらいで会社を立ち上げたんだよね。
私はベビーシッターマッチング会社が嫌いな人でした(笑)自分の人生に責任を持つことが起業とリンクしている部分があるから、けっきょくは会社に雇われているわけじゃないけど、手数料が引かれる…なんというか…
そう、依存させたくない。じゃあ自立できる仕組みって何だろうって考えたとき…今までのマッチングサイトはお客さんである親目線の会社が多いと感じていて。私は保護者と保育者、どっちも幸せにしたいと思ったんだよね。
親目線は力を入れている会社は多いけど、私は保育者の経営者として、保育者が幸せになる仕組みを作りたいなと思って会社を立ち上げた。だからいろんなイベントをしたり、保育者同士が気軽に繋がれる語り場とか、実際に保育に役立つ勉強会を開いたりしてる。そういう活動をする中で、素敵な保育者に今何人会ってきたんだろう…500人?1000人くらい?は会ってるのかなぁ…。
本当に素敵な保育者さんがいっぱいいる。埋もれている素敵な部分を世の中へ出したい、社会に届けたい、社会的地位を上げていける活動がしたい。これなかなか届かないんだよね…。保育者っていろんな個性があって、音楽が得意な人もいれば言葉かけが素敵な人もいる、スポーツが得意で運動の教え方が上手な人も…いろんなスキルを持っているんだけど、そのスキルをスキルと思っていない方が多いなと感じていて…。その素敵なところを世の中に出す、もっとその方が活躍できる場所を作りたい…。はっ…なんて素敵な会社なんだろう!(笑)
保育者へのメッセージ
保育士は楽しいこともあるけど、感情がおかしくなるくらい頑張っている保育士さん、いっぱいいると思う。でも、自分の人生を豊かにできるのは自分しかいないからこそ、そんなに頑張らなくてもいいんだよって伝えたい。
私はもともと王道の保育士から起業した一人で、何もわからない状態からのサポートもできる。もしフリーランスの保育士に興味がある人は相談してほしい!あなたのすでに持っている好き得意のスキルを事業にするお手伝いをしたいです!
本当の意味で、保育者の方に寄り添ったサービスを作っているし、今後もリアルな保育者の声に寄り添った形で、より良いマッチング会社を発展させていきたいと思っています。「ただ預かる」だけじゃない、自分の個性やスキルを活かしたい方にとってはすごくマッチするサービスなので、利用してもらえたら嬉しいです。
自分の人生を豊かにする選択肢であり、お金・時間・自己実現が叶えられる場所でもあるHug pocket。
夢を叶えたい人、興味がある人は、ぜひHug pocketについてのページも読んでね!
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